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■尿糖が陽性といわれたら

健康診断などで尿に糖がおりているとよく言われます。本来、尿は体内の不要になった老廃物を排泄するためのものですから、健康人では陰性になります。尿糖が陽性というと一般人の人でも生活習慣病の一つの糖尿病と考えてしまします。科学的に見ると、その時に採取された尿が試験紙法で陽性と判定されたということです。直ぐに糖尿病に結びつくわけではありません。尿糖は通常は糖類の中でもブドウ糖を意味します。ブドウ糖は腎臓の糸球体で濾過されますが、ほとんど全量が尿細管で再吸収されます。 尿糖が陽性の場合でも高血糖を伴う場合と高血糖を伴わない場合があります。 腎臓の閾値が変化した腎性糖尿、妊娠腎、新生児は尿糖陽性でも糖尿病ではない可能性があります

 糖尿病は、糖の代謝異常によって血糖値が上がる病気です。食事をとって消化吸収が行われると、血液中に糖が入ってきて血糖値が140mg/dlくらいまで上がります。血糖値が上がるとすい臓から分泌されたインスリンが働き、体内の糖を一定に保つために調整を始めます。血糖値が160~180mg/dlを超えたときに、消費も再吸収もされなかった糖が尿の中に漏れ出します。しかし、糖尿病とは、尿に糖が出ている状態を指すのではなく、あくまで血糖値が高い状態が慢性的に続く病気のことです。糖尿病の診断に重要とされる指標は、血糖値とヘモグロビンA1Cで、どちらも血液を検査して調べます。健康診断で尿糖陽性からは、ただちに糖尿病と診断することはできませんが、血液検査と照らし合わせることで、糖尿病の早期発見に役立つと考えられています。

 尿糖が陽性であっても血糖値が高くない場合は、腎性糖尿の可能性があります。腎性糖尿の人では、血液中のブドウ糖の濃度は正常以下であるのに、ブドウ糖が再吸収されずに尿中に排泄されてしまいます。尿細管細胞に異常があり、ブドウ糖を再吸収する力が低下しているために起こります。腎性糖尿のいくつかの病態は遺伝性で、特別な病気の一部として発生することもあります。腎性糖尿では何の症状も見られず、深刻な影響がでることもありません。

糖尿病かどうかの確定診断には血液による検査が必要です。尿糖が陽性と言われたら、医療機関を受診してみましょう。