若いときは、骨折を起こすときは大きなエネルギーがかかって折れることがほとんどです。例えば、交通事故、転落などです。しかし高齢になってくると‘転んだだけ’などの非常に小さなエネルギーで骨折を起こすことがあります。これは、骨密度が低下している、筋力が低下している、反射機能が低下している、など加齢による原因が考えられます。高齢者に多い骨折は以下のようなものがあります。
● 大腿骨頸部骨折
股関節(足のつけね)の骨折です。転倒して尻もちをついたときなどに起こります。
寝たきりの原因となってしまうことがあります。
治療は金属による固定や、人工関節などがあります。
● 脊椎圧迫骨折
せぼねの骨折です。こちらも転倒して尻もちをついたときなどに起こります。
ほとんどが保存的に治りますが、まれに手術が必要になることもあります。
治療は骨粗鬆症の治療や、コルセットの作成などがあります。
● 橈骨遠位端骨折
手首の骨折です。転倒して手をついたときなどに起こります。
大きく腫れたり、変形して痛みが強く動かせないこともあります。
治療はギプス・装具による固定や、手術による金属での固定があります。
● 上腕骨近位部骨折
肩・腕のつけねの骨折です。手をついたり、肩から転んだときなどに起こります。
腕があがらなくなったり、大きく腫れたりすることがあります。
治療は三角巾やバンドでの固定、手術による金属での固定があります。
● 肋骨骨折
あばら骨の骨折です。転んで胸を打ったときなどに起こります。
深呼吸やせき込みにて痛みがあります。
保存的に経過をみることが多いですが、まれにひどいときは手術を考えることもあります。
骨折を起こさないようにするためには
- 適度な運動・体操を心掛ける
- 身の回り、生活環境を整える
- 骨粗鬆症を治療する
といったような方法があります。転ばない環境として段差をなくしたり、手すりをつけたり工夫できることがあるでしょうし、また、自分自身の筋力を鍛えることによって、転びにくい身体つくりということも必要になってきます。
骨粗鬆症は病院でチェックすることができます。年齢とともに骨密度は低下していき、特に女性は閉経後から急激に低下することがわかっています。一度検査をして、自分の今のからだをよく知ることが必要です。