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健康情報
■こどもの臍の諸問題(第43回学校医部会)

公立学校共済組合四国中央病院
小児外科 大塩猛人

我が国では西欧諸国と異なり、個人の個性は重視されずむしろ均一が求められる。特に、小児期では身体の特徴は問題となり易い。着替えをする際や、夏のプールにおいて男児では臍が露出する。そこで出臍では「いじめ」や「からかい」の対象となり易い。女児でも水着の前が盛り上がる。出臍はこども本人の劣等感ともなり、また保育者が心配して受診し臍形成術を行なった症例を多数経験した。なお、出臍には2種類存在する。腸の脱出を伴えば臍ヘルニアであり、詰まっておれば臍突出症として区別される。

出臍は乳児期の臍ヘルニアの放置がその原因のほとんどを占めている。医師の教科書には、乳児の臍ヘルニアは1歳時に80%が、2歳時に90%が自然治癒するので放置経過観察を原則とし、絆創膏固定は意味が無くむしろ有害であると明記されていた。

私は40数年間2,000例以上の乳児の臍ヘルニアを絆創膏固定で治療して来た。医師の間では強い反対があったが、99%の治癒率である。最近、小児を扱う一部の医師にても固定法が行なわれているが、医師の指導で家族が行なう方法が取られている。その治癒率を見ると90%を越える事はほとんど稀で2歳時の自然治癒率以下である。なお、臍の固定治癒後は家族の希望する形態とは異なることもある。

 その他、稀ではあるが臍の疾患として、臍嚢胞、臍ポリープ、臍肉芽、血管腫などについても言及した。
 臍の形態で悩めるこどもが無くなることを祈念してやまない。