■園・学校で出席停止となる感染症について その5(第14回学校医部会)
第2種、第3種学校伝染病:それぞれの病気と出席停止期間
伝染性紅斑(リンゴ病)
潜伏期間は約1週間でヒトパルボウイルスB19が感染すると7-10日後に
ウイルス血症を起こし、次いで抗体が作られるためウイルスが次第に減少していき、感染14-18日後くらいになって伝染性紅斑が出現します。このため、感染力が最も強いのは紅斑出現時ではなく、その1週間以上前のウイルス血症の時期です。ほおが紅くなったときは、すでに感染時期を過ぎており登園・登校は可能です。
ロタウイルス感染症(冬季嘔吐下痢症)
潜伏期間は24-72時間で乳幼児の冬季下痢症の最も主要な原因 です。
ロタウイルスは感染力が非常に強く、患者の便中のウイルスが何らかの形でほかの人の口に入って感染します。ウイルスは環境中でも安定なので、汚染された水や食物を介して、 あるいは汚染された物の表面(ドアノブ、手すり等)を触った手などから口に 入り感染します。ウイルスは乾燥すると空気中を漂い、これが口に入って感染することがあるので、便や嘔吐物を乾燥させないことも重要です。痢の症状がなくなった後も、患者の便にはしばらくウイルスの排泄が続くと考えられます。ロタウイルスの排泄期間は乳幼児では約3週間です。感染の注意は必要で菅、嘔吐・下痢の症状が軽快し、全身状態が良好なら登園・登校は可能です。
腸管出血性大腸菌感染症(O157など)
ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌による感染。 潜伏期間は2-3日です。
O157等腸管出血性大腸菌感染症は感染症法の3類感染症に分類され、診断 した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが定められています。
学校保健法では、第3種の感染症に指定されており、「症状により学校医その 他の医師により感染の恐れがないと認めるまで」を出席停止の基準としている。
ただし、最初から症状のない場合(無症状病原体保有者)は手洗いなどが 充分にできれば二次感染の心配はなく、一律に出席停止とする必要はありません。
ノロウイルス感染症
潜伏期間は24-48時間。 ノロウイルスは、手指や食品などを介して経口で感染し、乳幼児や 高齢者では重症となることがあります。
ノロウイルスは、健康人に感染した場合、症状が回復しても2-3週間程度 便中にウイルスが排泄されます。保育園、学校や高齢者の施設等で発生した時は早く診断を確定し、適切な対症療法を行うとともに、感染経路を調べ速やかに最寄りの保健所に連絡しなければなりません。