■マムシ咬傷について
マムシは、琉球列島を除く日本の全土に分布しており、春から秋とくに7〜9月に多くみられ、体長45〜60cm、胴が太く尾が短い。体色は灰褐色〜暗褐色で特徴は背に
銭型の斑紋が並んでいる事です。頭部は吻端を頂点とする三角形のものが多く、ハブと同様、上顎の先端に2本の長い毒牙があり、この牙で咬むことにより毒が注入されます。
マムシ毒は出血毒で出血、浮腫、血圧降下、急性腎不全などを引き起こし、死亡率は0.1%程度と言われています。
症状は
20−30分で激しい疼痛、出血、腫脹。
1−2時間後、皮下出血、水泡形成、リンパ節腫脹と疼痛、発熱、めまい、意識障害などがおこります。また、激しいアレルギー症状(アナフィラキシーショック)を引き起こす事もあります。
1時間以上経過しても症状がでない時は、毒素が注入されていなかった可能性があります。
マムシ咬傷のGrade分類 |
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GradeⅠ |
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受傷局所のみの腫脹 |
GradeⅡ |
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手首または足首までの腫脹 |
GradeⅢ |
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肘または膝関節までの腫脹 |
GradeⅣ |
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一肢全体に及ぶ腫脹 |
GradeⅤ |
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一肢を越える腫脹または全身症状を伴うもの |
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※ 受傷後1〜2時間の症状から上記分類のGradeⅢ以上は重症と判断し血清投与が必要になります |
現場での応急処置は昔から、
咬傷部の切開、中枢側で強く緊縛、毒の吸引などが言われていますが、切開は不潔な処置になり、場合によって筋肉や神経組織まで損傷の可能性がある事。緊縛も強すぎると組織が阻血してしまい、場合によっては切断に至る事がある事。毒の口からの吸引では口の周囲に傷があると細菌による二次感染を引き起こす事。などから推奨されていません。
もし、マムシに噛まれたら、緊縛は脈が触れる程度にし、傷は水道水で洗浄。早急に(1時間以内の処置が最良)医療機関を受診し適切な処置を受ける事が必要です。
マムシは普段、夜行性でおとなしい生物ですが、冬眠前や妊娠中のメスは昼間に行動する事があります。草むらや森林では足下のみならず、手先にも気をつけてください。