■幼小児期のスキンケア その2(第13回学校医部会)
<スキンケアとスキンキュア>
スキンケアとは「健康な皮膚を保つために行う行為」です。ですから、スキンケアは、健康な時から始めないと意味がありません。皮膚病の時にもスキンケアは大切ですが、スキンケアだけでは治りません。治療薬を用いたスキンキュアが必要です。
<スキンケアの種類>
スキンケアの三本柱は、
ですが、ひらたくいえば、1)皮膚の清潔を保つこと、2)適度な水分・油分・保湿成分を補うことで乾燥や荒れを防ぐこと、3)老化や発癌の大きな因子である紫外線を防ぐことです。
<洗浄のスキンケア>
皮膚には様々な、内因性の汚れ、外因性の汚れ、が付着しており、洗浄のスキンケアはスキンケアの基本です。皮膚が汚れやすい小児は、頻回に必要です。お湯の温度は38〜39度、ナイロンタオル、ブラシ、スポンジの使用は厳禁です。湿疹のある皮膚ではガーゼの使用も、湿疹を悪化させます。石鹸や洗浄剤を、微温湯で薄め、手で十分に泡立て、泡をぬり、こすらずになでるように洗うのがポイントです。洗ったあとは十分にすすぎ流しましょう。頭は、シャンプーで洗いましょう。洗浄後には、必ず保湿のスキンケアが必要です。
<保湿のスキンケア>
10歳までの子供の皮膚は老齢者よりも乾燥しています。乾燥肌になると、皮膚には大小様々なキレツが生じ、種々の刺激、アレルゲン、微生物が侵入するようになります。乾燥肌によるバリア機能障害の結果、皮膚炎、かゆみ、感染が生じます。これによって引き起こされた炎症(皮膚炎)の結果、角質細胞が変化し、さらに乾燥が進みます。
保湿のスキンケアは、洗浄のスキンケア後、皮膚が乾く前に、ただちに行う必要があります。保湿剤を皮膚にぬるわけですが、使用量は30分後にはベトベトしないことを目安にします。ふさわしい
保湿剤の種類は、季節や肌の状況によってかわります。保湿のスキンケアは、洗う都度、拭く都度、必要です。
学校生活の中では、プールの後にも必要です。
<保護のスキンケア(特に衣類について)>
皮膚に触れる部分は、柔らかい木綿か、洗える絹製が良いといわれています。肩から肘、腰回り、下腿などは、キメの非常に細かい生地で、ゆったりとした袖や裾の形のものが相応しいでしょう。新
品の衣類は、ホルマリンや蛍光染料、漂白剤などが残存していることが多いので、必ず洗濯してから使用しましょう。長期間しまっていた衣類も同様です。
抱っこされる年齢の小児は、小児本人の衣類だけでなく、抱っこする人の衣類も大切です。セーターや化繊の衣類をきたままで、抱っこをしていると、乳幼児の顔の荒れはなおりません。寝具も、毛布等は必ず 目の細かい木綿のカバーをかける必要があります。
子供は寝てる間も汗かきです。寝る時は、必ず木綿のゆったりしたパジャマに着替えさせ、パジャマは毎日洗ってっください。肌の弱い子供の、パジャマや下着の洗濯には、酵素含有洗剤、柔軟剤、のりづけ、は使わず、すすぎは十分にする必要があります。
子供は足も汗かきです。靴をはくときには、必ず木綿の靴下をはかせましょう。子供の靴はゴム靴が多いので、裸足で靴をはいていると、靴のゴムや接着剤、汚れによって、足に乾燥や皮膚炎を起こしやすいのです。
学校生活では、制服、体操服など化繊のものが多く、配慮が必要でしょう。