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健康情報
■幼小児期のスキンケア その1(第13回学校医部会)

<はじめに>

 子供の皮膚「すべすべ、みずみずしい、やわらかくって、いいな」・・・というのは、大間違いです。実は、子供の皮膚、薄い・柔らかい・弱い、の三拍子そろった「きわめつきのバリア機能不全です」。

<子供の皮膚の特徴>

1) 「機械的刺激に弱い」皮膚の厚さは満期産児で大人の半分、満16歳で大人と同じ厚さになるといわれています。
2) 「皮脂量が大変少ない」新生児期をのぞく、満10歳までの間、皮脂腺の分泌活動はわずかです。
3) 「角層の水分保持能力が未熟」四季を通じて少ないのですが、特に冬季は非常に少なくなります。
4) 「単位面積あたりの発汗量が多い」エクリン汗腺の数は生涯変動しません。体重200キロ近い巨漢の相撲取りも、体重3キロの赤ちゃんも、エクリン汗腺の数は同じです。
5) バリア機能の悪い子供のカサカサ角層は、機械刺激や過度の湿潤でも、ふやけて荒れやすくなります。

<バリア機能が悪いとどうなるの>

 「バリア機能」は皮膚の一番大切な働きです。体の内の水分などが逃げ出さないように、体の外のばい菌や異物が体にはいってこないように、生命を維持するために不可欠な要素です。健康な優れたバリア機能を有する皮膚からは、ばい菌やアレルゲン(アレルギー・免疫反応をおこす原因となる物質のこと)はなかなか侵入できません。逆に、子供の乾燥したバリア機能不全の皮膚からは、アレルゲンがしょっちゅう侵入してくることになります。「バリア機能異常」があると、「外来アレルゲンに対して繰り返し暴露される」ことになります。「外来アレルゲンに対して繰り返し暴露される」と、「アトピー性皮膚炎類似の皮膚炎が誘導される」ようになります。

<アトピー性皮膚炎のバリア機能異常>

 ここ数年のエポックですが、日本人アトピー性皮膚炎患者の4人の1人にフィラグリン遺伝子変異が発症因子となっていることが解明されてきました。フィラグリンは表皮細胞が「バリア機能の優れた角層」になるために働く蛋白です。さらに、分解されると天然保湿成分(NMF)となります。フィラグリン遺伝子変異があると、「バリア機能異常」がおこり、「外来アレルゲンに対して繰り返し暴露される」ことになり、アトピーマーチにつながることになります。

(平成22年7月26日)