■「学童期の皮膚感染症」その2
<伝染性軟属腫(みずいぼ)>
伝染性軟属腫ウイルスの感染により起こります。
いぼは1〜5mm程度の隆起した腫瘤で柔らかくみずみずしい光沢があります。大きくなると、中心におへそのような凹みがあります。水いぼ自体は痛みなどありませんが、しばしば周囲に円形のかゆい乾燥性変化を伴います。肌と肌の接触、タオルの共有、ビート板やうき輪を介してうつります。
アトピー性皮膚炎の子では、広い範囲に拡大することがあります。
この水いぼは数カ月から1年半くらいたつと、免疫が出来ることにより自然に治ってゆくものですが、これを取るか取らないかで様々な考え方があります。講師の先生は、かつての経験から取る方向で考えておられます。つまみとったり、液体窒素で冷凍療法を行うなどいくつかの方法があります。
水いぼがあるからと言って、登園・登校を禁止することはありませんが、プールに入るかどうかについて、現実的には意見の分かれるところです。
平成11年に改定された学校保健法では「多数の発疹のある者については、水泳プールでビート板や浮き輪の共有をしない」となっています。プールや浴槽内の水を介しては感染しないことが知られていますが、ビート板や浮き輪、バススポンジなどには注意が必要です。
この件につき、フロアーからも質問がありましたが、講師の先生のお考えでは、水いぼを治療していない状態でプールに入ることは勧められないとのことでした。
<尋常性疣贅>
ヒト乳頭腫ウイルスの感染によって起こるものです。
手足の末端、特に手背、爪囲によく出来ます。小丘疹として始まり、大きくなると盛り上がって、いわゆるイボになります。表面は灰色ないし褐色を呈します。
手掌、指腹、足底などに生じた場合は皮膚深部へ増殖することがあります。この場合、中央が粗?で角質が周囲を取り囲んだような孤立性小結節として見えることがあり、これをミルメシア(蟻塚の意味)と呼びます。
<扁平疣贅>
これもヒト乳頭腫ウイルスの感染によって起こるもので、青年期に好発します。
顔面、手背、前腕が好発部位。
円形から多角形の扁平隆起性、表面平滑な角化傾向の少ない小結節。
しばしば多発し、融合して一塊りになることもあれば、線状、円弧状の配列を取ることもあります。
色は、普通の皮膚の色から赤みを帯びるものまで様々です。
これらイボの治療には液体窒素凍結療法などがありますが、昔からイボ取り地蔵さんがあるのをみても解るようにプラセボ効果がみられることも多いようです。