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健康情報
■発達障害と肥満の予防に対する認知行動療法(第53回学校医部会)

香川大学大学院教育学研究科 高度教職実践専攻
宮前義和

講演では、まず、認知行動療法について説明しました。認知行動療法とはどのような心理療法(カウンセリングの方法)なのか、精神分析や来談者中心療法と比べながら、現在や個人をとりまく環境、実証性を重視しているとお話しました。さらに、講演を通じて、認知行動療法は端的に言えば方法であり、セルフコントロールを重要視しているとお伝えしました。そして、実際の臨床では、来談者のニーズや状況に応じて、いくつかの心理療法を組み合わせて用いる折衷が多いとお伝えしました。

次に、発達障害(AD/HDや自閉症等)に対する認知行動療法を用いた支援について説明しました。まず、具体的な支援の方法を実践する前に、子どもとの関係性を築くように努める必要があるとお話しました。次に、不適切な行動(ケンカや教室を出ていってしまう等)に対する三項随伴性の考え方(先行条件、行動、結果条件という一連のつながり)を用いた支援や社会的スキル訓練(人との接し方の学習方法)をとりあげました。そして、分化強化の考え方から、子どものできていないことを叱ったり注意したりするより、できていることに注目する方が生産的で有効な場合が少なくないとお話しました。また、叱る場合には、叱り方の工夫が必要だと思うとお伝えしました。そして、近年、重要視されているユニバーサルデザインの授業や合理的配慮についてお話しました。

最後に、肥満を予防するために認知行動療法をどのように活用できるのかについて説明しました。肥満の予防としたのは、尾崎貴視先生より、三豊市、観音寺市では「Myカルテ」を用いた生活習慣病予防が行われているとうかがっていたためです。具体的には、セルフモニタリング(自分の行動を自ら記録する)や動機づけについてお話しました。セルフモニタリングでは、体重等の記録にとどまらず、どのようなときにお菓子を食べたくなるのか、お菓子を食べるとストレスが和らぐといった、環境的要因も記録する必要があるとお伝えしました。動機づけについては、例えば、家族みんなで肥満の予防をするといった状況(環境的要因)があると、子どもは予防につながる行動を学びやすく、適切な行動が持続しやすいといったことをお話しました。

発達障害と肥満の予防に対する認知行動療法(第53回学校医部会)発達障害と肥満の予防に対する認知行動療法(第53回学校医部会)