麻酔とは
多くの手術では体にメスをいれるため、痛みと大きなストレスを伴います。それらを取り除くために、麻酔薬を使って痛みや身体の反射を起こさないようにします。一時的で、しかも後遺症を残すことなく神経の働きを抑える薬を使用して、手術ができる状態にすることが目的です。
麻酔法の種類
麻酔法は、意識が無くなる全身麻酔法と、意識はあるが痛みを感じなくなる局所麻酔法の2つに大別されます。
全身麻酔法とは
大きい手術や上半身の手術の場合、全身麻酔が行われます。中枢神経系、すなわち脳と脊髄に薬物を作用させて麻酔状態を得ます。私達が夜、眠っている間は意識はありません。しかし、何か痛みがあると反射的に声を出して目覚め、眠り続けることはできません。一方、全身麻酔は、手術のような痛みを伴う大きな刺激やストレスを受けても、無意識、無痛、身体は動かない、しかも記憶に残らない状態を保ちます。「麻酔は怖い」「目が覚めなかったらどうしよう」と心配される方もいらっしゃいますが、適切なモニターと緻密な監視があれば、安全性は非常に高く、重度の合併症は稀なのです。安心して全身麻酔を受けていただければと思います。
局所麻酔法とは
局所麻酔とは、局所麻酔薬を使用して、患者様の意識を保ったままで痛みを感じる神経を一時的に麻痺させた状態で手術を行う方法です。局所麻酔を受ける利点は、大きく3つあります。
- 意識があること
- 全身に及ぼす影響が少ないこと
- 麻酔に必要な機器が少なく、費用が全身麻酔より安価であること
また意識があり、全身への影響が少ない薬を使っているので、呼吸や循環が安定します。使用される局所麻酔薬はアレルギーが少なく、安全性が高いこと、日帰り手術が可能なこと等の利点があります。しかし、じっとしていなくてはいけないので、幼児には不向き等の欠点もあります。
全身麻酔でも局所麻酔でも、患者様の状態を常に把握し、変化する手術状況に応じた的確な判断から最適な処置が実行されることで、麻酔の高い安全性が確立しているのです。