三豊・観音寺市医師会


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■巻き爪、陥入爪の装具療法

巻き爪とは爪が巻いた状態、陥入爪とはその爪が肉(皮膚、軟部組織)に食い込んだ状態をいい地味な疾患(病気)ではありますが、その痛みは強烈で、罹患者の悩みは深いものです。巻き爪は人口の約5%に起こりますが、実際に深刻な痛みを訴える例はその1割、すなわち人口の0.5%(200人に1人)くらいです。この治療法には爪を剥がす手術療法と、爪を剥がさない保存療法(装具療法)の2つがあります。爪を剥がす手術療法は痛い上に再発率が高いため(60〜80%)、侵襲が少なくかつ確実な装具療法が期待されています。今回はこの装具療法に焦点をあて、新しい装具療法を紹介したいと思います。

従来の装具療法としては戦前からVHO法という方法がドイツで開発され、日本でも実施されてきました。この方法は爪の隙間(約0.5mm)の空間引っ掛けるため装着が容易で、すぐに痛みが軽減され、日常生活にも支障をきたさない大変優れた矯正法ですが、矯正力(湾曲した爪を元のまっすぐな状態に戻す力)がやや弱いのが欠点です。一方、2000年ころから日本では弾性ワイヤー法が開発され使われてきました。この方法は矯正力は強力ですが、爪に穴を開ける必要があるため爪が割れやすく、装着時痛みを伴うことが多いという欠点がありました。

これらの欠点を克服するため様々な新しい装具療法が開発されています。そのうち一つがステンレスワイヤーの反発力を利用したスプリング&フック式(SH式)です。この装具による矯正法は、0.3mm〜0.4mmのステンレスワイヤーを爪の端の0.5mm程の隙間に引っ掛け、その対側を爪に貼り付ける方法です。この貼り付けに関してはさまざまな苦労があったようですが、2013年光重合法を採用してから安定的に行えるようになったとのことです。本法は上記の従来装具の「装着が容易」と「矯正力が強力」という2つの利点をそれぞれ受け継ぎ、なおかつ「爪が割れやすい」という欠点を克服した、いわゆる「いいとこどり装具」と言ってよいでしょう。

この治療法を実際に行っている医師によると、「本当に痛くないんですか?」という質問が多く、「痛くない」と繰り返し説明しても患者さんの不安が強いのが現状で、そのような場合、「小学生なんぞは、スマホのゲームをしながら治療受けています。」という実情を話すことにしているそうです。

当地域でもこの新しい装具療法を受けられる医療機関があるので、興味のある方はインターネットで検索してみてはいかがでしょうか。

 巻き爪、陥入爪の治療法は爪の形状や炎症の程度によって変わってきます。どの治療が最も適しているか、お近くの皮膚科や整形外科でご相談ください。

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