三豊・観音寺市医師会


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■高齢者と冬のお風呂

日本人はお風呂好きですね。入浴は、体を清潔にしリフレッシュしてくれます。しかし、年間1万5千件もの入浴関連死亡事故が報告され、その約60%が75才以上の高齢者です。スキンケアと血圧の視点から、高齢者にやさしいお風呂について考えてみましょう。

高齢になってくると、「角層の保湿機能が低下し、皮脂も不足する。→皮膚がカサカサしやすい。」、「温度を感じる知覚神経が鈍くなる。→結果的に熱いお風呂を好む。」、「太い動脈にも硬化が起こってくる。→収縮期血圧(最高血圧)は上昇するが,拡張期血圧(最低血圧)はむしろ低下し、血圧の変動も大きくなる。」、「全身的な動脈硬化により主要臓器(脳、心臓、腎臓など)の血流が低下している。→主要臓器の障害や合併症をきたしやすい。」などの変化が起きています。

スキンケアのポイントは皮脂や天然の皮膚保湿成分がぬけ出さないように、39〜40度のぬるめのお湯にし(私個人は患者さんに38〜39度と説明しています)、皮膚をゴシゴシ擦らないことです。そして、入浴直後に保湿剤を乾燥皮膚全体に外用しましょう。

高齢者の入浴事故が多いのは、入浴前後で血圧が急激に変動することが多いからです。まず、冬期は脱衣所の暖房を考えましょう。寒い脱衣所→暖かい浴室、暖かい浴室→寒い脱衣所、この温度差を減らしましょう。湯温は39〜40度のぬるめの半身浴が推奨され、入浴時間も10分程度と短くしましょう。また、湯船から急に立ち上がらないようにしましょう。入浴前の飲酒にも気をつけましょう。

先述したように、高齢になると熱さを感じる知覚神経が鈍くなっていますから、39〜40度の湯温を確認するためには浴槽用の温度計を浮かべておくとよいですね。体にやさしい入浴方法で、お風呂を楽しんで下さい。

(参考文献;高齢者の皮膚トラブルFAQ、診断と治療社、2011年)