過活動膀胱(OverActiveBladder、略してOABともいいます)は、尿意切迫感を主症状とする病名(症候群)です。 通常は、昼間頻尿と夜間頻尿を伴っており、尿失禁はある場合とない場合があります。 尿失禁がある場合を、OAB wet、ない場合を、OAB dry とも言います。
この病名は、比較的新しく作られた病名で、診療の現場で最近よく使われています。
過活動膀胱の患者数は、日本では約800万人にのぼると推定されており70才以上では3割以上の方がこの病気にかかっていると考えられています。
過活動膀胱の診断をつけるためには、膀胱疾患(膀胱がん、膀胱結石、膀胱炎)、前立腺がん、全身性疾患(糖尿病など)などが、除外される必要があります。
過活動膀胱の主要な症状について述べます。
- (1)尿意切迫感
- 急に起こる強い尿意で我慢して抑えることができない感覚です。
- (2)昼間頻尿
- 日中の排尿回数が多いという症状で、一般的には1日8回以上としています。
- (3)夜間頻尿
- 夜間に1回以上排尿に起きる場合を夜間頻尿としています。
- (4)尿失禁
- 自分の意志とは無関係に尿が漏れてしまう場合をいいます。
尿失禁には、尿意切迫感と同時に尿が漏れる切迫性尿失禁と、運動時やくしゃみ、咳の際に尿が漏れる腹圧性尿失禁があります。
過活動膀胱の治療の主体は薬物治療になります。
薬物治療では、主に、抗コリン薬(ベシケア、バップフォー、デトルシトール、ウリトスなど)を用います。
抗コリン薬には、膀胱を収縮させるアセチルコリンの働きを弱めて、膀胱の収縮を抑える作用があります。
また、α1受容体遮断剤(ハルナール、ユリーフ、アビショットなど)は、膀胱から尿道にかけての筋肉の緊張を低下させる為、男性で前立腺肥大を合併している過活動膀胱の場合に優先的に使われます。
また、膀胱壁にあるβ3アドレナリン受容体に働いて膀胱壁を弛緩させる薬剤(ベタニス)なども使われています。
症状があっても年のせいだとそのままにしている方は多いと思われます。治療によって、日常生活が随分改善される場合があります。
過活動膀胱の症状に当てはまる方は、一度、かかりつけ医もしくは泌尿器科の先生に御相談される事をお勧めします。